ふくらはぎ・すねにあらわれる症状
- 動作時に痛む(歩行・ジャンプ・坂道・つま先立ちなど)
- 押さえると痛みを感じる(圧痛)
- じっとしていても痛みや不快感が続く
- 鈍い痛みや張り感・重だるさがある
- 運動のあとや翌日にかけて痛みが強くなる
- しびれや感覚異常が出ることがある
- 筋肉のこわばりやつっぱり感がある
- 皮下出血や内出血(アザ)がみられる
- しこりのような腫れや盛り上がりがある
- ふくらはぎに急な鋭い痛みや「ブチッ」と切れた感覚がある(筋断裂・アキレス腱断裂など)
- こむら返り(筋けいれん)が起こりやすい
- ふくらはぎから足首にかけて腫れ、熱感や赤みがみられる
- 朝起きたときにアキレス腱周辺が硬くて動かしづらい
- 長く歩いたり立ち続けたあとに、ふくらはぎの内側や外側がだるく感じる
- ふくらはぎの片側だけむくみ、歩行時に強い違和感や痛みを伴う(DVT)
- すねの骨がズキズキ、ジンジンと痛む(特に内側)
- すねの内側に沿って押すと広い範囲で痛みを感じる
- 足首を動かすと、それに連動してすねの外側や内側に痛みが広がることがある(腱の障害が関与)
など
ふくらはぎ・すねの痛みが起こる疾患
筋断裂(肉離れ)

筋断裂(肉離れ)とは、筋肉の一部が損傷または断裂する外傷の一種です。特に太ももやふくらはぎなどの大きな筋肉が部分的に裂けることで、炎症や内出血が生じ、腫れや鋭い痛みを伴うのが特徴です。かでもふくらはぎに起こる筋断裂(肉離れ)は、主に腓腹筋(ひふくきん)が部分的に損傷することで発症します。多くは部分断裂ですが、まれに筋肉が完全に断裂することもあります。発症時には「ブチッ」や「バチッ」といった断裂音や、何かが切れたような感覚を自覚することがあり、その直後から強い痛みにより歩行が困難になるケースもあります。損傷部位を押すと強い痛みがあり、筋肉を伸ばしたり縮めたりする動作で痛みが増すのが特徴です。主な原因は、ダッシュ・ジャンプ・急な方向転換など、瞬間的に筋肉へ強い負荷がかかる動作です。陸上競技、サッカー、バスケットボール、テニスなど、俊敏な動作が求められるスポーツ中によく発生します。また、筋肉が疲労していたり、柔軟性や筋力が低下している場合には、日常のささいな動作でも発症することがあります。
症状
- 急な動作時に「ブチッ」「バチッ」といった断裂音や、筋肉が切れたような感覚を感じた
- 発症直後から鋭く強い痛みが走り、歩行が困難になる
- 損傷した部位を押したり、筋肉を動かすことで痛みが増す
- 傷めた筋肉のまわりに腫れやあざ(皮下出血)があらわれる
- 筋肉の一部に陥凹(へこみ)があらわれる(特に中等度以上の損傷)
- 安静時にも痛みが持続する
など
アキレス腱症

アキレス腱症は、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とかかとの骨をつなぐアキレス腱に炎症や変性が生じる疾患です。アキレス腱症は、歩行やランニング、ジャンプなどの動作によってアキレス腱が繰り返し引き伸ばされることで、腱に過剰な負荷がかかることが原因となって発症します。主な症状は、ふくらはぎからかかとにかけての痛みや腫れ、押したときの圧痛で、アキレス腱を伸ばす動作や運動後に痛みが増すことが多く、重症例では足首の動きが制限される場合もあります。療は、運動負荷を減らして安静を保つことが基本です。消炎鎮痛薬(内服・外用)を使用するほか、痛みが強い場合はステロイド注射が検討されます(ただし腱断裂のリスクに注意が必要です)。再発予防には、運動前後のストレッチ、アイシング、インソールの活用が効果的です。アキレス腱症は、ランニング、バスケットボール、バレーボール、テニスなど、ジャンプやダッシュを繰り返すスポーツに多く、中高年のスポーツ愛好者にもよくみられます。
症状
- ふくらはぎからかかとにかけてのアキレス腱付近に痛みを感じる
- アキレス腱のあたりに腫れや熱を帯びた感じが出る
- アキレス腱を押すと鋭い痛みがある(圧痛がある)
- 歩いたり走ったり、跳んだりすると痛みが増す
- 運動後や起床直後に痛みが強く出ることが多い
- アキレス腱を伸ばす動作(背伸びやストレッチなど)で痛みが出る
- 足首の可動域が狭くなる
- 運動を控えると痛みはいったん治まるが、再開するとまた痛みが出やすい
など
アキレス腱断裂
アキレス腱断裂とは、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とかかとの骨(踵骨)をつなぐアキレス腱が完全に切れる状態を指します。この腱はつま先立ちやジャンプ、ダッシュなどの動作で強く使われるため、繰り返しの負荷により断裂しやすい部位です。特にテニス、バドミントン、バスケットボール、サッカーなど、急な動きが多いスポーツを行う30〜50代に多く見られます。加齢に伴う腱の柔軟性や血流の低下も、発症リスクを高める要因とされています。断裂時には「バチッ」という音や、後ろから蹴られたような衝撃を感じることが多く、足に体重をかけられず歩行困難になります。ただし、しばらくすると痛みが軽減し、少し歩けるようになることもあるため、受診が遅れるケースもあります。治療には保存療法(ギプスや装具で固定し自然治癒を促す)と、手術療法(断裂部を縫合しリハビリを行う)があります。いずれの方法でも、軽い運動まで約3〜4ヵ月、スポーツ復帰にはおよそ6ヵ月かかるのが一般的です。
症状
- 急な動きの際に「バチッ」とした音が聞こえる、または背後から蹴られたような強い衝撃を受けた感覚がある
- 断裂した直後から、ふくらはぎやアキレス腱のあたりに鋭い強い痛みを感じる
- つま先で立ち上がることができなくなる
- 足に荷重をかけることが難しくなり、歩行が困難になる
- アキレス腱の損傷部にくぼみ(陥凹)を触れることがある
- 時間が経過すると痛みが和らぎ、一時的に歩けるように感じることがある
など
シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)
シンスプリントは、すねの内側(下腿内側)に痛みが生じるオーバーユース(使いすぎ)による障害であり、特に繰り返しのランニングやジャンプ動作によって発症しやすいとされています。痛みは、すねの中央から下3分の1付近にかけてズキズキと広がるような鈍い痛みとして現れるのが特徴です。この障害は、陸上競技(とくに中・長距離走)やランニング、バスケットボール、バレーボール、サッカーなど、走る・跳ぶといった反復動作の多いスポーツ選手によくみられます。シンスプリントの発症メカニズムは完全には解明されていませんが、運動のしすぎや急激な負荷の増加、硬い地面でのトレーニング、クッション性の乏しい靴の使用、足関節の柔軟性低下、下肢筋力の不足、足の疲労による衝撃吸収力の低下など、複数の要因が組み合わさることで脛骨周囲の骨膜にストレスが加わり、炎症と痛みを引き起こすと考えられています。シンスプリントと類似した症状があらわれる疾患として「脛骨の疲労骨折」があります。疲労骨折では痛みが限局的なのに対し、シンスプリントは広範囲に痛みが広がる傾向があります。両者は初期症状が似ているため、正確な診断には画像検査などを用いた慎重な鑑別が求められます。
症状
- すねの内側(下腿内側)に痛みが生じる
- すねの中央から下3分の1付近にかけて、ぼんやりとした痛みが広がる
- ズキズキとした痛みや不快感が起こる
- 動いている最中や運動のあとに痛みが増す
- 走る・跳ぶなど同じ動作を繰り返すことで痛みがひどくなる
- 安静にすると痛みが軽減するが、再開すると再び痛みが出る
- すねの両側ではなく、片側に痛みが生じる
など
脛骨疲労骨折

脛骨疲労骨折とは、ランニングやジャンプなどの動作で、すねの骨(脛骨)に繰り返し負担がかかることで起こる骨折です。一度の大きな衝撃で起こる通常の骨折とは異なり、小さな力が積み重なって骨に亀裂が入るのが特徴です。原因には、筋肉の牽引力、筋疲労による力のバランスの乱れ、足の衝撃吸収力の低下などがあり、これらが重なることで骨に過剰なストレスがかかります。発生部位によって「疾走型(脛骨の上部)」「跳躍型(中央部)」「後内側型(下部)」の3タイプに分類され、それぞれスポーツの種目や治りやすさが異なります。症状は、軽度(運動時のみ痛み)、中等度(日常生活でも痛みや腫れ)、重度(骨にズレが生じる)と進行し、放置すると手術が必要になる場合もあります。治療は安静が基本ですが、状態によっては運動を続けながらの回復も可能です。予防と再発防止のためには、ストレッチやアイシング、入浴などで筋肉の柔軟性や血流を保つことが大切です。経過観察では定期的なX線検査が推奨され、特に競技者は早期発見と管理が重要になります。
症状
- すねの骨(脛骨)の一定部位に集中して痛みが現れる
- 運動時に痛みが生じ、安静にすると痛みが和らぐ(初期)
- 日常生活の中でも立ったり歩いたりする際に痛みがあらわれる
- 痛む部分を指で押すと、強い痛みを感じる
- 運動の継続で徐々に痛みが強くなる
- 腫れや軽い熱感がある(中等度以上)
- 走行やジャンプ動作にパフォーマンスの低下を感じる
- 骨にずれが生じると、激しい痛みで歩行が困難になる
など
前脛骨筋炎
前脛骨筋炎とは、すねの外側にある前脛骨筋に繰り返し負荷がかかることで起こる炎症性の疾患です。歩行やランニング、坂道の昇降、ジャンプなどの動作により発症しやすく、日常生活での使いすぎが原因になることもあります。前脛骨筋は、足首を上げて足先を持ち上げる働きがあり、歩行時のつまずきを防ぎます。しかし、ふくらはぎの大きな筋肉(下腿三頭筋)に比べて小さく疲れやすいため、長時間の運動で炎症を起こしやすくなります。症状は、すねの上部や外側の痛み・張り感で、運動中や運動後に感じやすく、悪化すると日常動作でも痛みが出るようになります。まれに坐骨神経痛などの神経性の痛みとの見分けが必要になることもあります。治療は安静が基本で、ストレッチやクールダウン、入浴による血流改善が有効です。痛みが強い場合は、消炎鎮痛薬を含む湿布や塗り薬を使用します。一方で、強いマッサージや指圧は悪化を招くため避けるべきです。症状が長引く場合は、医療機関での評価をおすすめします。
症状
- すねの上部や外側に痛みや張りを感じる
- 歩いたり走ったり、坂を上り下りする際に痛みが出やすい
- 運動中や運動後に症状が悪化しやすい
- 安静にすることで一時的に痛みはおさまるが、運動を再開すると再び悪化しやすい
- 日常動作でも痛みが出ることがある
- 足先が上がりにくく、つまずきやすくなる
- すねの外側を押すと局所的な痛みがある
- 患部に軽い腫れや違和感が生じる
- 筋肉を酷使したあとに痛みを感じやすい
など
腓骨筋腱炎
腓骨筋腱炎とは、足首の外側を通る腓骨筋(長腓骨筋・短腓骨筋)の腱に炎症が起こり、痛みや腫れが生じる状態です。腓骨筋は足を外に動かし、足首を安定させる働きがあり、歩行や走行、ジャンプなどで重要な役割を果たします。腓骨筋腱炎は、これらの動作の繰り返しや足首の捻挫、足の形状の異常(偏平足・ハイアーチ)、合わない靴などが原因で発症します。特にランナーやスポーツを行う方に多く見られます。主な症状は、足首外側の痛み、腫れ、押したときの痛み、ぐらつき、動かしにくさなどで、運動や長時間の歩行で悪化します。診断は問診・触診を中心に、必要に応じてMRIや超音波検査が行われます。治療はまず保存療法が基本です。安静、冷却、圧迫、足の挙上(RICE処置)を行い、湿布やNSAIDsが用いられることもあります。あわせてリハビリで腓骨筋や足首周囲の筋力と柔軟性を高め、再発予防に努めます。足の構造に問題がある場合は、インソールや装具の使用が効果的です。症状が長引く場合にはステロイド注射が検討されます。軽症であれば数週間で改善することが多いですが、放置すると慢性化する可能性があるため、早めの対応が大切です。
症状
- 足首の外側に違和感や痛みを感じる
- 外くるぶしの後方から下部にかけて腫れや熱っぽさがあらわれる
- 腓骨筋腱(足首の外側)を押すと鋭い痛みを感じる
- 歩く、走る、跳ぶといった動作で症状が強くなる
- 長時間立っていたり歩いた後に足首の外側が重だるく感じる
- 足首が不安定になり、力が入りにくかったり、ぐらつく感じがする
- 足首を外側に動かすと(外返し動作で)痛みが誘発される
- 動いている最中は気にならなくても、運動後や翌朝に痛みが強く出ることがある
など
後脛骨筋腱炎
後脛骨筋腱炎とは、足の内くるぶしの下を走る後脛骨筋腱に炎症が生じ、痛みや腫れが現れる疾患です。後脛骨筋は、足部や全身の姿勢を安定させるために重要な筋肉であり、体重がかかった際に足のアーチ構造を支えたり、着地の衝撃を和らげたりする働きを担っています。後脛骨筋腱に過度の負担がかかると、腱が炎症を起こし、歩行時やストレッチ時にも痛みを感じるようになります。この炎症は、ランニングやジャンプといった反復動作によって腱に繰り返し牽引力がかかることで起こりやすく、さらに不安定な路面やクッション性の乏しい靴を履いている場合にも発症のリスクが高まります。また、扁平足や足関節周囲の筋力低下・柔軟性の不足も、腱に余計な負担をかける要因となります。症状が進行すると、運動時だけでなく、立ち仕事や日常生活の動作でも持続的な痛みが現れるため、早期に適切な診断を受け、対応することが大切です。
症状
- 足首の内くるぶし付近に痛みを感じる
- 内くるぶしの後方から足の内側を押すと痛む
- 歩行時や階段の昇り降り、片足立ちで痛みが出やすい
- ジャンプや走行などの運動時に痛みが強まる
- 土踏まずの高さが低くなり、偏平足のようになる
- 長く立ったり歩いた後に足の内側に重だるさや違和感が現れる
- 脚の内側の腫れや熱感が出る
- 安静時や日常動作でも持続的な痛みが出る
- 足元が不安定になり、歩きづらさやふらつきを感じる
など
深部静脈血栓症(DVT)
深部静脈血栓症(DVT)とは、太ももやふくらはぎなどの深部静脈に血のかたまり(血栓)ができる疾患です。血流の滞りや血管の損傷、血液が固まりやすい状態が原因で、長時間の座位や手術後、妊娠中、がん治療中の方などに多く見られます。症状としては、片脚のむくみやだるさ、ふくらはぎの痛み(特に押したときや立ち上がるときに強くなる)、熱っぽさ、皮膚の赤紫色の変化などが現れます。中には無症状で経過する場合もあるため注意が必要です。血栓が肺に流れると、呼吸困難などを引き起こす「肺塞栓症」となり、命に関わることもあります。診断には問診・診察のほか、血液検査(Dダイマー)や下肢の超音波検査が用いられ、肺塞栓の疑いがある場合は造影CTが行われます。治療は抗凝固薬(DOACなど)を中心に行い、重症例では入院が必要です。予防には、長時間の移動時の足の運動、水分補給、術後の早期離床が有効です。リスクのある方は、日頃からの対策を心がけることが大切です。
症状
- 片側の脚(主にふくらはぎや太もも)が腫れぼったくなる
- 脚に重だるさや倦怠感を覚える
- ふくらはぎに圧迫時や起立時に強まる痛みが出る
- 脚の皮膚に熱を帯びた感じがある(触れると熱く感じる)
- 脚の皮膚が赤紫〜青紫に変色する
- 片脚だけが目立って太くなる
- ふくらはぎの深い部分に限られた圧痛がある
など
ふくらはぎ・すねの痛みの治療について

ふくらはぎやすねに痛みや違和感がある場合は、できるだけ早めに整形外科を受診することが大切です。症状を放置すると、悪化して治療が長引く可能性があります。この部位の痛みは、筋肉や腱、骨、血管など、複数の組織が関係しており、原因はさまざまです。整形外科ではまず問診と触診を行い、症状の出方や日常生活への影響を確認します。そのうえで、X線検査(レントゲン)で骨の異常を調べたり、超音波検査やMRIで筋肉・腱・血管の状態を詳しく確認したりします。血流障害が疑われる場合には、血液検査や血管エコーが行われることもあります。診断結果に基づき、急性の炎症が見られる場合には安静や消炎処置を中心とした治療を行い、慢性的な痛みがある場合には、リハビリや理学療法を通じて、姿勢や体の使い方の改善を目指します。歩行や運動に支障を感じている方、症状がなかなか改善しない方は、我慢せずにお早めに医療機関へご相談ください。
よくある質問
深部静脈血栓症によるふくらはぎの痛みはどんな感じですか?
深部静脈血栓症(DVT)では、ふくらはぎが片側だけむくんだり、重くだるい感覚が続いたりすることから始まります。立ち上がったときや患部を押した際に鈍い痛みが強まるのが特徴です。また、皮膚が赤紫色に変化したり、熱感を伴うこともあります。歩行時に強い違和感や痛みを感じるケースもあり、片脚だけの明らかな腫れや圧痛が見られる場合は、速やかに医療機関での診察が必要です。
ふくらはぎに痛みが出る原因には何がありますか?
ふくらはぎの痛みは、筋肉の損傷(肉離れ)やアキレス腱周囲の炎症・断裂、後脛骨筋腱炎、深部静脈血栓症(DVT)など、さまざまな疾患が関係している可能性があります。肉離れでは「ブチッ」と筋肉が切れたような感覚とともに、急激な痛みが生じます。DVTでは血栓による血流障害が原因となり、片足にむくみや鈍痛が現れます。また、アキレス腱に起きる炎症や断裂では、つま先立ちや歩行が困難になることがあります。痛みの出方や動作との関係を確認し、違和感が続く場合は整形外科を受診しましょう。
腓骨筋腱炎が疑われるときは受診したほうがいいですか?
はい。腓骨筋腱炎が疑われる場合は整形外科の受診が望まれます。足首の外側に痛みや腫れ、ぐらつきなどの症状がある場合は、専門的な検査と治療が必要です。適切な対応をせずに放置すると、症状が慢性化して運動や歩行に支障が出ることがあります。早期の診断とケアが重要です。
後脛骨筋腱炎を放置するとどうなりますか?
後脛骨筋腱炎をそのままにしておくと、足のアーチ構造が崩れて扁平足のような状態になる恐れがあります。この変化により、足の内側に慢性的な痛みが出たり、歩行バランスが乱れてふらつきやすくなったりします。状態が進行すると日常生活にも支障をきたすため、早めの診察と治療が大切です。
すねの痛みが出る原因にはどんな疾患がありますか?
すね(下腿部)に痛みが生じる背景には、シンスプリント(脛骨疲労性骨膜炎)、脛骨の疲労骨折、前脛骨筋炎などが関係していることがあります。シンスプリントは、走る・跳ぶなどの運動を繰り返すことで骨膜に炎症が起き、すねの内側全体が広く痛むのが特徴です。脛骨疲労骨折は、小さなひびのような損傷で、痛みが一か所に集中する傾向があります。また、すねの外側に不快感や張りが出る場合は、前脛骨筋炎が考えられます。運動中やその後に痛みが強まるようであれば、整形外科などで適切な検査を受けることが大切です。
前脛骨筋が痛むのはどんなときですか?
前脛骨筋炎は、足の甲を引き上げる筋肉である前脛骨筋に繰り返し負担がかかることで炎症を起こす疾患です。すねの外側から上部にかけて痛みや張りが出やすく、坂道や長時間の歩行・ランニングで症状が悪化します。使いすぎや不適切な動作が原因で、動作の途中や運動後に痛みが増す傾向があります。
前脛骨筋炎はどうやって治療しますか?
前脛骨筋炎の治療では、まず運動を控えて安静を保つことが基本です。あわせてストレッチやアイシング、入浴などで血流を促し、炎症をやわらげます。痛みが強いときは、湿布薬や塗り薬などの外用剤が補助的に使われます。再発を防ぐには、運動を再開する際にウォーミングアップやクールダウンを丁寧に行うことが大切です。
シンスプリントと脛骨の疲労骨折はどう違うのですか?
シンスプリントはすねの内側に広がるような鈍痛があり、比較的広範囲にわたるのが特徴です。一方、脛骨疲労骨折では痛みが特定の一点に限局し、症状が進むと腫れや歩行困難を伴うことがあります。どちらも運動によるオーバーユースが原因ですが、骨折の方が重症度が高く、治療期間も長くなる傾向があります。判断には画像検査(X線やMRI)が有効です。