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肘の痛み Elbow

肘(内側・外側)にあらわれる症状

  • 肘の関節に痛みがある
  • 肘を動かしたときに痛みを感じる
  • 肘の外側から上腕にかけて痛みがある
  • 肘の内側に痛みを感じる
  • 肘から前腕にかけて痛みがある
  • 肘がこわばり、動かそうとすると強い痛みが出る
  • 肘の動きにひっかかるような感覚がある
  • 肘のまわりにしびれや違和感がある
  • 肘に鋭い痛みや鈍い痛みを感じる
  • 肘の腫れや熱感がある
  • 肘の曲げ伸ばしがしづらい
  • 物をつかむと痛みが強くなる
  • 手や指に広がる痛みがある

など

肘(内側・外側)に痛みが起こる疾患

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

テニス肘とは、正式には「上腕骨外側上顆炎」と呼ばれ、テニスのバックハンド動作のように手首や肘を繰り返し使うことで発症しやすいため、こうした名称で広く知られています。症状としては、肘の外側から上腕にかけての部位に痛みがあらわれやすく、物をつかんだり手首を反らせたりする動作で痛みが強まることがあります。

症状

テニスをされている方の場合、バックハンドのスイング時に肘の外側に痛みを感じ、異変に気づくことが多いです。痛みは、肘の外側(外側上顆)に発生し、手首を反らす動作や、タオルを絞る・ドアノブを回すといった日常の動作でも悪化するのが特徴です。初期には鈍い痛みが続き、悪化するとズキズキとした痛みや、物を握るときの痛みが強くなることもあります。また、まれにしびれを伴うこともありますが、その場合は神経の圧迫など他の原因も考えられるため、注意が必要です。

野球肘

野球肘とは、野球などでボールを繰り返し投げることで肘の関節に負担が蓄積し、痛みが生じる状態を指します。特に投球フォームに無理があったり、成長期に過度な投球を続けたりすると、肘の内側や外側、さらには骨や軟骨に過剰な負荷がかかり、炎症や損傷を引き起こすことがあります。

外側型

外側型野球肘とは、ボールを繰り返し投げる動作によって、肘の外側に位置する「上腕骨小頭」と呼ばれる部位の骨や軟骨に障害が生じる状態です。この障害は、特に成長期の子どもに多く見られ、進行すると「離断性骨軟骨炎(OCD)」と呼ばれる病態に至ることもあります。主な症状としては、肘の外側に痛みが現れ、悪化すると関節内に軟骨のかけら(関節遊離体)が生じて、肘の動きが引っかかったりスムーズに動かせなくなったりすることがあります。これは、肘の関節に繰り返し加わる圧迫の力によって起こるため、早期に異常を発見し、投球量を制限することが重要です。

内側型

内側型野球肘とは、ボールを投げる動作の中でも、特に加速期に肘の内側へ強い引っ張る力(牽引力)が繰り返しかかることで発症する障害です。このストレスにより、内側側副靱帯や肘の骨端線(成長軟骨)などに負担が集中し、靱帯の損傷や軟骨部の炎症、離開(はがれ)などが生じることがあります。また、近くを通る尺骨神経が刺激されることで、小指や薬指にしびれや違和感があらわれるケースもあります。肘の内側に痛みを感じたときは、投球を無理に続けず、早めに専門的な評価と適切な治療を受けることが大切です。

後方型

後方型野球肘とは、投球動作の終盤(フォロースルー)で肘を最後まで伸ばした際に、肘の後ろ側で骨同士が繰り返しぶつかることで発症する障害です。この繰り返される衝突によって、肘頭(ちゅうとう)と上腕骨の間に骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のトゲのような突起が形成されたり、滑膜が炎症を起こしたり、肘頭に疲労骨折が生じることがあります。主な症状としては、肘の後方に痛みを感じるほか、肘を完全に伸ばすことが難しくなるなどの可動域制限がみられます。このタイプの野球肘は、骨の成長がある程度落ち着いた高校生以降の選手に多くみられる傾向があります。

変形性肘関節症

変形性肘関節症とは、肘の関節に長期間にわたって過度な負担がかかり続けることで、関節軟骨がすり減り、骨に変形が生じて痛みや可動域の制限が現れる状態です。この疾患は、加齢による自然な関節の変化だけでなく、以前に肘の関節炎、脱臼、骨折、または野球肘などの障害を経験した方に発症しやすい傾向があります。

症状

変形性肘関節症では、肘を動かすことで痛みが強まり、安静にしていると痛みが軽くなる傾向があります。とくに肘を伸ばしたり曲げたりしようとすると、鋭い痛みが生じることもあります。さらに進行すると、肘の可動域が徐々に狭くなり、症状が悪化した場合には、関節内で軟骨片などが引っかかり、肘が動かなくなる「ロッキング」と呼ばれる状態が起こることもあります。

肘部管症候群

肘部管症候群とは、肘の内側にある「肘部管」と呼ばれるトンネル状の構造内で、尺骨神経が慢性的に圧迫されたり引き伸ばされたりすることで起こる神経障害です。この尺骨神経は、手のひらの小指側や手の甲の一部に分布しているため、圧迫が続くと、小指や薬指にしびれや痛み、感覚の鈍さが生じることがあります。進行すると、指先の細かい動きがしにくくなったり、筋力低下が見られたりすることもあります。

症状

肘部管症候群では、初期には小指や薬指にしびれや痛みがあらわれることがあります。症状が進むと、肘から手首にかけて痛みやしびれが広がることもあり、さらに悪化すると、手の筋力が低下し、小指や薬指が変形してしまうこと(鷲手変形)もあります。

肘内障

肘内障とは、肘関節の一部である橈骨頭(とうこつとう)が靭帯からずれかけた状態、いわゆる亜脱臼のことを指します。この疾患は、特に1~5歳前後の幼児に多く見られ、手を引っ張られた拍子に突然腕を動かさなくなることで発覚することが一般的です。成長とともに関節構造が安定してくるため次第に起こりにくくなりますが、一度起こると再発しやすい傾向があるため、注意が必要です。

症状

肘内障では、突然、肘の周囲に痛みが生じ、子どもが自分の腕を動かさなくなることがあります。特に1〜5歳前後の幼児に多く見られ、多くの場合、肘を曲げようとすると痛がって拒否し、腕をだらんと下げたまま動かさない姿勢をとります。この疾患は、保護者の方が子どもの手を引いた直後に発症することが多く、腕に触れると泣き出すことで気づかれるケースもよくあります。

肘の痛みの治療について

肘に痛みや違和感を覚えた場合は、症状が悪化する前に整形外科を受診することをおすすめします。そのまま放置してしまうと、痛みが強くなったり、治療期間が長引く可能性があるため注意が必要です。整形外科では、痛みや違和感が一時的なものか慢性的なものかを、診察と検査を通じて評価し、その結果に基づいて適切な治療方法をご提案します。肘の内側や外側に慢性的な痛みがある場合や、肘から手にかけて強い痛みがみられる場合には、まずは痛みの緩和を優先します。その後、症状が落ち着いてきた段階で、理学療法士と連携してリハビリを行い、肘に負担をかけている動作や姿勢を見直しながら、根本的な改善を目指します。

よくある質問

肘が痛いときは、どの診療科を受診すればよいですか?

肘の痛みには、関節・腱・神経などさまざまな要因が関与するため、まずは整形外科を受診するのが一般的です。整形外科では診察や画像検査を行い、必要に応じてリハビリテーション科、神経内科、リウマチ科などと連携しながら診療を進めることがあります。

肘に痛みがあるとき、温めるのと冷やすのはどちらが良いですか?

痛みが急に現れた場合や、腫れ・熱を伴うときには、冷やすことで炎症を抑える効果が期待できます。一方、慢性的なこわばりや違和感があるときは、温めることで血流が促進され、痛みの緩和につながることがあります。症状の状態に応じて使い分けることが大切です。

肘の動きでカクッと音が鳴ったり、引っかかる感じがあります。これは異常でしょうか?

肘を動かした際に音がしたり引っかかるような感覚がある場合、関節内の軟骨や骨の変化、あるいは関節内にできた遊離体(関節ねずみ)が関係している可能性があります。痛みや関節の動きの制限を伴う場合は、変形性肘関節症などの疾患が疑われるため、早めに整形外科で診察を受けてください。

肘の痛みと指先のしびれには関係がありますか?

はい、関係する場合があります。特に、肘の内側を通る尺骨神経が圧迫されると、肘の痛みに加えて小指や薬指にしびれや感覚の鈍さが現れることがあります(肘部管症候群)。放置すると、筋力低下や指の変形(鷲手変形)に進行することもあるため、早期の対応が重要です。

肘の痛みで夜中に目が覚めるのですが、病院に行くべきですか?

夜間の痛みは、関節の炎症による内圧の上昇や、寝ている間の姿勢で神経が圧迫されることが原因の可能性があります。テニス肘や肘部管症候群では、安静時や就寝中にも症状が出ることがあり、夜間痛が続くようであれば、整形外科の受診をおすすめします。

子どもが急に腕を動かさなくなりました。病気の可能性はありますか?

1~5歳くらいの小さなお子さんが、急に腕を使わなくなった場合には、「肘内障(ちゅうないしょう)」という状態が疑われます。これは、手を強く引かれたことで肘関節の一部(橈骨頭)が靱帯からずれてしまう軽度の脱臼(亜脱臼)です。整形外科で適切に整復すれば、すぐに改善することが多いです。

テニスやゴルフなどのスポーツで肘が痛む場合、運動をやめたほうがよいですか?

はい、痛みがある状態で無理に続けると、症状が悪化する恐れがあります。テニス肘やゴルフ肘は、手首や肘の使いすぎによって起こりやすく、安静やアイシング、ストレッチなどの初期対応が大切です。フォームの見直しやリハビリも再発防止に効果があります。

肘の痛みはどのように治療されますか?

肘の痛みは、原因や症状の程度に応じて、消炎鎮痛薬の内服や外用、注射、装具療法、理学療法(リハビリ)などの保存的治療が行われます。関節の変形や遊離体(関節ねずみ)がある場合は、関節鏡を用いた手術が検討されることもあります。治療方針は診断結果に基づいて決定されます。