足(足裏、足首、付け根)にあらわれる症状
- 足の付け根にだるさを感じる
- 足の付け根に違和感がある
- 立ったり座ったり、歩いたりすると足の付け根が痛む
- 足の付け根の痛みが徐々に強くなる
- 朝起きたときに足に痛みやこわばりがあり、時間が経つと軽くなる
- 足の指に痛みがある
- 足の指が腫れている
- 足の裏に痛みがある
- 足の裏にしこりのようなものがある
- 足の甲が痛い
- かかとに痛みがある
- 左右の足、または片方の足が痛む
- 足にしびれを感じる
- 足がつりやすい(こむら返りが起こる)
など
足に痛みが起こる疾患
(足裏、足首、付け根)
外反母趾

外反母趾とは、足の親指(母趾)が小指側へと向かって曲がり、つけ根の関節(中足趾節関節)が突出して変形する状態を指します。親指が「く」の字のように曲がることで、関節部分に痛みや腫れが生じ、進行すると靴を履いて歩くことが難しくなる場合もあります。この変形の主な要因は、つま先が細く締めつけられる靴などによって親指の根元が継続的に圧迫されることです。特にかかとの高い靴では前足部に体重が集中するため、外反母趾の進行を助長しやすいとされています。外反母趾はあらゆる年代で見られますが、10代で発症する場合は、生まれつきの偏平足傾向や親指が長いといった足の形状が背景にあることが多く、一方で中高年に多いのは、長期間にわたる靴の影響に加え、加齢による筋力の低下や体重増加が関係していると考えられています。
症状
外反母趾では、足に痛みや腫れが生じ、親指の付け根(母趾中足趾節関節)が目立って変形するのが一般的です。痛みの出る場所は個人差があり、主に親指の付け根に痛みを感じるケースが多いですが、変形による圧迫や体重のかかり方の変化によって、人差し指(第2趾)の付け根に痛みが現れることもあります。
偏平足
偏平足とは、足裏にある「土踏まず(足底アーチ)」が低くなったり、消失して平らな状態になっていることを指します。通常、足裏には縦方向のアーチ構造があり、このアーチが歩行時の衝撃を吸収したり、足の腱や筋肉にかかる力をうまくつま先に伝える役割を果たしています。しかし、このアーチが崩れると、足にかかる衝撃が吸収されにくくなり、足裏やかかと、膝、腰などに負担がかかりやすくなることがあります。また、長時間の歩行や立ち仕事で足が疲れやすくなったり、痛みが出ることもあります。症状が進行すると、外反母趾や足底腱膜炎などの二次的なトラブルにつながることもあります。
成人期偏平足
成人式偏平足とは、大人になってから足の土踏まずがなくなり、足裏が平らになることで痛みなどの症状が現れる状態を指します。初期には、足の内側、特に内くるぶしの下あたりに痛みや腫れが出ることが多く、進行すると足の裏や外側、足首のまわりにも痛みが広がることがあります。さらに状態が悪化すると、足のバランスが崩れて全身に負担がかかりやすくなり、歩くのがつらくなったり、膝や腰に負担がかかって腰痛が起きたり、姿勢のくずれから頭痛につながることもあります。
幼児期偏平足
幼児期偏平足とは、乳幼児に見られる足の土踏まず(アーチ)が形成されていない状態を指します。多くの場合、土踏まずは成長とともに自然に発達するため、幼児期の偏平足は加齢とともに改善していくことが一般的です。ただし、一部のケースでは、生まれつきの骨や関節の異常(先天性疾患)により、年齢を重ねてもアーチが形成されず、偏平足が持続することがあります。このような場合には、歩き始めの時期が遅れたり、歩行が不安定になる、姿勢が崩れやすいといった特徴が見られることもあります。
足底腱膜炎

足底腱膜炎とは、足の指の付け根からかかとに向かって縦に伸びる、丈夫な線維状の膜(足底腱膜)に炎症や微細な損傷が生じ、足裏に痛みが出る状態を指します。足底腱膜は、歩行中や立位時に足のアーチを支え、地面からの衝撃を和らげる重要な役割を果たしています。しかし、長時間の立ち仕事や長距離の歩行、ジャンプを伴う運動などで腱膜に繰り返し負担がかかると、炎症が起きて痛みが生じるようになります。また、加齢により足底腱膜の柔軟性が低下すると、小さな負荷でも損傷や炎症が起こりやすくなります。この疾患は、マラソンやランニングなどを習慣にしている方、日常的に長時間立ち続ける仕事に従事している方に多く見られます。加えて、中高年の女性でも比較的よく発症する傾向があります。
症状
- 立ち上がる瞬間に足の裏に強い痛みが走る
- 朝、最初の一歩を踏み出したときに鋭い痛みがある
- 歩き始めに強い痛みがあるが、しばらくすると和らいでくる
- 長時間立ち続けたり歩いたりすると、足の裏が痛くなる
- 夕方になると再び足裏に痛みが出てくる
- 足の裏全体が重だるく張ったように感じることがある
- 運動を始めた直後に足が痛むが、しばらくすると楽になる
- 運動を続けていると、次第に足の痛みが再発する
- かかとに痛みを感じる
- かかとの内側や少し前方を押すと痛みがある
- 足裏(特に土踏まず)に突っ張るような感覚がある
など
モートン病
モートン病とは、足の指の間を通る神経(足指間神経)が圧迫されることで炎症を起こし、痛みやしびれが出る疾患です。この神経は足の裏側から足指の間に向かって伸びており、特に中指と薬指の間(第3足指間)で圧迫されることが多く、ピリピリするような痛みや焼けつくような感覚、指の間に異物が挟まっているような違和感などが見られます。モートン病は、ハイヒールや幅の狭い靴を長時間履くことが原因となることが多く、特に40代から60代の女性に多くみられます。
症状
モートン病では、足の指や足の甲にしびれや痛み、まれにピクピクと動くような違和感が現れることがあります。とくに多いのは、中指と薬指の間(第3足指間)や、人差し指と中指の間(第2足指間)に起こる症状で、ピリピリと電気が走るような痛みや、焼けつくようなしびれなど、神経の刺激による感覚異常がみられます。また、「足指の間に小石が挟まっているような圧迫感」と表現されるような不快感が出ることもあります。このような症状は、立っているときや歩いているときに強くなる傾向があり、歩行中にビリッとした痛みが走ることもあります。一方で、靴を脱いで足を休めると症状がやわらぐという特徴もあります。
足の痛みの治療について

足に痛みや違和感を感じる場合には、症状が悪化する前に整形外科の受診をご検討ください。そのまま放置すると、痛みが慢性化し、治療に時間がかかる可能性がありますのでご注意ください。足の裏や足首、足の付け根などに不調を感じた際には、お早めにご相談いただくことをおすすめします。形外科では、診察や必要な検査を通じて、痛みや違和感が一時的なものか、慢性的なものかを評価します。診断結果に応じて、適切な治療方針をご提案いたします。痛みが強い場合や長期間続く痛みがある場合には、まず症状の緩和を目的とした治療を優先して行います。その後、痛みが落ち着いてきた段階で、リハビリテーションを通じて原因となっている体の使い方や姿勢の改善を図り、理学療法士と連携して再発防止に取り組んでいきます。
よくある質問
足の親指の付け根が赤く腫れて痛いのですが、原因として何が考えられますか?
足の親指の根元に赤みや腫れ、痛みが出ている場合は、外反母趾、関節炎、または滑液包炎などが疑われます。特に外反母趾による変形があると、関節に過度な負担がかかりやすく、炎症が起こることがあります。症状が続く場合は、整形外科を受診し、靴の選び方やインソールの使用について医師に相談することをおすすめします。
足の指先にピリピリとしたしびれを感じます。放置しても問題ないでしょうか?
足の指先にしびれがある場合、神経が圧迫されている可能性があり、モートン病などが関係していることがあります。特に中指と薬指の間に症状が出やすく、しびれのほかに、焼けるような痛みや異物感を伴うこともあります。軽度で自然に改善することもありますが、悪化すると歩行に支障をきたすため、早めに医療機関での診察を受けることが望ましいです。
足裏の中央部分に痛みがあります。歩くとズキズキしますが、どんな疾患が考えられますか?
足の裏の中心部が痛む場合、足底腱膜炎の可能性があります。特に朝起きて最初に足をついたときや、長時間歩いた後に強い痛みが出るのが特徴です。扁平足、長時間の立ち仕事、加齢などが発症に関係していることがあります。炎症を和らげるには、足を安静に保つことやストレッチ、インソールの使用が効果的です。
足の裏に小さなしこりができ、押すと痛みがあります。腫瘍の可能性はありますか?
足底に生じるしこりには、足底線維腫やガングリオンといった良性の腫瘤が多く見られますが、神経腫や足底腱膜の変性に伴う硬いしこりのこともあります。特に痛みが強かったり、歩行に支障が出る場合は、整形外科での超音波やMRIなどによる検査が必要です。
足の甲に痛みがあります。骨のトラブルが原因でしょうか?
足の甲が痛む原因としては、モートン病、中足骨の疲労骨折、中足骨骨頭痛などが考えられます。足のアーチが崩れていると、甲の部分に過剰な負担がかかりやすくなります。痛みが続く場合は、X線などの画像検査で骨や関節の状態を確認することが重要です。
かかとの内側がチクチクと痛みます。どのような疾患が考えられますか?
かかとの内側に痛みを感じる場合、足底腱膜炎やアキレス腱の付着部での炎症、あるいは神経の圧迫が関与していることがあります。特に朝の一歩目で痛む場合は足底腱膜炎の可能性が高いとされています。市販のクッション材やストレッチが有効なケースもありますが、改善が見られない場合は整形外科で診察を受けることをおすすめします。
足の小指側に締めつけられるような違和感と痛みがあります。靴が原因でしょうか?
足の小指側に圧迫感や痛みがある場合、狭い靴やヒールの高い靴によって第5中足骨の外側に負担がかかり、「小趾外反」と呼ばれる変形を起こしている可能性があります。こうした状態は、慢性化すると痛みが長引くことがあります。足に無理なくフィットする靴や、つま先にゆとりのある靴を選ぶことが、症状の緩和につながります。
長時間立ったあとの足首まわりのジンジンした感覚は何かの異常ですか?
足首周辺のジンジンとした感覚は、長時間の立ち仕事や歩行によって血行が悪くなったり、軽い神経の圧迫が起こったりすることで生じることがあります。ただし、足底腱膜炎やモートン病が進行して神経を刺激している可能性もあるため、症状が頻繁に現れる場合は整形外科での診察を受けることをおすすめします。